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月刊がん もっといい日Web版

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『週刊がん もっといい日』編集部(株式会社日本医療情報出版)
TEL.03-5688-7816
FAX.03-5688-7803




週刊がん もっといい日
2007年Vol.90
12月28日更新


Vol.90号の目次 『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道からのメッセージ

@乳がん闘病中の内山 遥(うちやま はるか)が
レポートする連載『がん患者さんのための「免疫とがん」講座』第12回(最終回)
『サプリメントの選び方と上手な使い方』
取材協力:銀座東京クリニック 福田一典院長

A連載
『がん患者さんの口腔ケア〜がん患者さん自身が注意すべき口腔内管理のポイント』
上津江歯科医院院長 渡辺欣哉


BBOOK紹介

C連載
がんになった教師から生徒たちへのメッセージ
がんという病と闘い生きる姿、そして「命の不思議」と「大切さ」
2回目 『K君が手術の日に渡してくれたお守り』
友村忠司(ともむら ただし)

07年12月28日更新内容 全記事はこちら

乳がんの早期発見・早期治療、再発・転移防止活動に力を注ぐ
J&Jのウーマンズヘルスケア

ざまざまなビジネスを展開する世界的なヘルスケア企業のJ&J(ジョンソン&ジョンソン)。がん領域では、J&Jの製薬部門のヤンセンファーマが、抗がん剤、疼痛管理の薬剤、そして乳がんに特化した取り組みをしているのが医療機器領域を担当するメディカルカンパニーです。
同カンパニーでは、1999年から早期乳がん診断が可能な生検装置の普及を開始、2002年には女性部隊のウーマンズヘルスケア事業部が誕生しました。いち早く企業に勤める社員とその配偶者を対象としたがん検診制度を発足させる一方、つい最近では勉強会も催すなど、企業あげて検診率向上に力を注いでいます。
『週刊がん もっといい日』編集部では、乳がんの早期発見・早期治療に結びつく運動を展開、がん患者さんの会をサポートするなど、多発する乳がん予防に目を向けて20名のスタッフの陣頭指揮にあたるウーマンズヘルスケア事業部長の近 咲子さんを取材しました。その内容は、次号(2008年1月11日更新)で紹介いたします。
 がんの予防、治療、再発・転移防止は、医療機関や患者さんと家族とともに、企業のサポートも不可欠です。チーム医療の一員として、これからも良い薬剤、機器などの開発に全力で邁進してくださることを願っております。
 さて、この1年間にわたり『週刊がん もっといい日』に、ご支援、ご協力を賜りました多くの関係者の皆さま、そして当サイトを見てくださった、たくさんのがん患者さんとご家族の皆さま、本当に有難うございました。
 2008年が、皆さまにとって「もっといい年」になりますように・・・。

『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道

☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.90☆☆☆


乳がん闘病中の内山 遥(うちやま はるか)が
レポートする連載『がん患者さんのための「免疫とがん」講座』
第12回(最終回)
『サプリメントの選び方と上手な使い方』

取材協力:銀座東京クリニック 福田一典院長

福田一典院長
厚生労働省がん研究班によれば、がん患者さんの二人に一人が補完代替医療を利用し、その96%の人が何らかの健康食品を愛用しています。なかでも、きのこ系の健康食品を使用している人は6割強存在しますが、では、どのようなものを選べばよいでしょうか、その種類はあまりにも多く、迷うところです。そこで、『抗がんサプリメントの正しい選び方、使い方』(南々社)の著者で、がんの漢方治療や代替療法を行っている銀座東京クリニックの福田一典院長に、健康食品の選び方や、使用するときの注意点などをうかがいました。
取材・文/内山 遥(乳がん闘病中)

<プロフィール>
銀座東京クリニック院長
福田一典
1978年熊本大学を卒業後、熊本大学医学部第一外科などを経て、久留米大学医学部第一病理学教室助手。その間、米国バーモント大学医学部生化学教室などでがんの分子生物学的研究を行う。潟cムラ・中央研究所、国立がんセンター研究所がん予防研究部、岐阜大学医学部東洋医学講座助教授を経て、2002年に銀座東京クリニックを開設し、がんの漢方治療と代替医療を行っている。一般向け著書に『自分でできるがん再発予防法』(本の泉社)、『抗がんサプリメントの正しい選び方、使い方』(南々社)など多数。

免疫力を高める効果が期待される
マイタケなど、きのこ類の抽出物

がんを経験した人の多くは、「再発するのではないか」という不安を抱えており、その不安を打ち消すために、いろいろな行動をとります。私は、自分がなぜがんになったのか考え、食生活を根本的に変え、十分な睡眠をとり、仕事でも無理をしないよう心がけています。
近年では、健康保持・向上のために、健康食品を愛用する人たちが増える一方、がんになった人たちも、何らかの健康食品を摂取していることが判明しています。なかに、「ワラにもすがる思い」で摂取するケースもあるようです。
厚生労働省がん研究班の調べでは、補完代替療法を利用する目的に、「がんの進行抑制」「治療」「病状緩和」を挙げていることが判明しました。
「ただ広告宣伝などにまどわされて、“飲めば治る”と信じて健康食品に頼る患者さんもいますが、これだけで、がんを治すことはまず不可能です。がんの再発を防ぐうえで大切なことは、食生活を改善すること。野菜や大豆、果物を中心とした食生活に改善したうえで、その補充として健康食品を使ってこそ、効果も期待できるのです」と、がんの漢方治療や代替療法を行う銀座東京クリニック院長の福田一典医師は、語ります。
サプリメントのなかでも種類が多く、がん患者さんに最もよく知られているのが、マイタケなど、きのこ系健康食品です。
「きのこ類に含まれるβ‐グルカンは、免疫細胞のマクロファージやリンパ球を刺激して、免疫力を高める効果があるといわれています。がん患者さんが摂取することによって、再発や転移を抑える効果がある程度期待できると思います」
 ここで注意しておきたいのは、数多くのきのこ系健康食品が出回っているものの、実態は玉石混淆の状態。きちんとしたデータ、臨床試験で安全性や有効性が確かめられていないものが市販されています。
「マイタケ抽出物のように、臨床試験が行われ、論文として報告されている製品もありますが、臨床試験はおろか、動物実験さえ行っていないものも少なくありません。それどころか、他の製品のデータを勝手に使っているものさえあるのです。なのに、“がんの予防や治療に有効かもしれない”という程度のデータが、“がんに効く”“効果が証明された”、という話にいつのまにか置き換わって、宣伝に利用されることもあるので、注意が必要です」
それでは、何を目安に選べばよいのでしょうか。
「きのこの効果は、製品によって異なり、単に含まれる抽出物の量が多いというだけでは判断できません。まずは、安全性や有効性が確認されている製品を選ぶことが基本です。さらに、できれば、人を対象に行った臨床試験で、有効性を示すデータを持っているものを選びたいものです。今後、多くの健康食品において、臨床試験のデータが発表されることを期待したいですね」


がんの種類や状態によって
摂取してはいけないものもあることを知っておこう

ところで、あなたは健康食品をどのように選んでいますか? 「知人によいと勧められたから・・・」とか「広告宣伝を見て良さそうだと思ったから・・・」という理由で選んだ人も多いのではないでしょうか。
先の厚生労働省のがん研究班が、がん患者さんに、「補完代替医療を利用したきっかけ」を聞いたところ、「家族や知人からの勧め」(77.7%)「自らの意思で・・・」(23.3%)利用したそうです。
私は、知人の薬剤師から『十全大補湯』という漢方薬を勧められ、処方してもらおうとして主治医に相談しました。ところが返ってきた言葉は、「へぇ〜なにそれ? あんまり変なもの出したくないんだけどねぇ」でした。
そんなこともあろうかと、抗腫瘍効果などのデータを見せると、「ふ〜ん、ま、悪いものじゃなさそうだから出してもいいですよ・・・」という返事。漢方薬でさえ知らないのですから、健康食品については、聞くだけムダと感じました。
このように、健康食品に対する認識度が低い医師が存在していますから、がん患者さんの多くは、主治医や薬剤師には内緒で、こっそりと健康食品を摂取しているケースは、少なくないはずです。ただ食品とはいえ、「意外な落とし穴がある」と福田医師は指摘します。
「健康な人が、健康増進を目的として健康食品を摂取する分には、どんな健康食品を選ぼうと、それほど問題はないのですが、がん患者さんがサプリメントを取るときには、いくつか注意しなければいけないことがあります。たとえば、血小板凝集機能を低下させるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などは、出血が止まりにくくなる作用があるので、手術の前や、血小板が減少しやすい抗がん剤治療中は、過剰な摂取は推奨できません。また、エストロゲン依存性の乳がんや子宮体がんの人は、大豆イソフラボンのサプリメントを摂取すると、がんを増殖させるリスクがあります」
がんの種類によって、また状況によって、使ってはいけない健康食品もあるということを、ほとんどの方が、ご存じなかったのではないでしょうか? そういう私も、いくつか知らなかったことがあり、愕然としました。体のために、良かれと思って取った健康食品が、かえって害を及ぼすことだてありえるのです。
健康食品は、上手に使えば頼もしい味方になってくれるものですが、一歩間違うと、意外な落とし穴が待ち受けています。健康食品を愛用する前に、使用されている素材についての知識を取り入れ、原則を知ることは、効果的に使うためにも命を守るためにも不可欠です。 
知識を身につけたうえで、できることなら信頼できる医師や薬剤師にアドバイスを受けながら、上手に健康食品を使用することが大切だと思いました。


表 がん患者が健康食品を使用する際注意したいこと
・エストロゲン依存性の乳がんや子宮体がんの患者は、大豆イソフラボンのサプリメントを摂取すると、再発を促進する可能性がある(大豆を使った食品を避ける必要はない)
・血小板凝集機能を低下させる(血液サラサラ効果がある)DHAやEPAは、手術前や抗がん剤治療中の使用は注意が必要
・免疫細胞のがん(悪性リンパ腫など)の患者が、免疫力を高める健康食品を使用すると、がんを増殖させるリスクがある

☆☆内山 遥の近況報告☆☆ 

時のたつのは早いもので、2007年1月から始まった12回の連載が、あっという間に終わってしまいました。この間、免疫研究や、がん治療の第一線で活躍されている方々に、直接お話をお聞きすることができ、とても貴重な体験ができたと思います。
連載第1回の取材に出かけたのは、抗がん剤治療の副作用で抜けた髪が、まだ生えそろわない時期でした。ウィッグをつけながら、こんなに早く仕事を始めていいのか、不安を感じていたことも事実です。でも、取材を続けていくうちに、自分が、なぜがんになったのか客観的に振り返り、考え方と生活を改めれば、がんと闘う力、すなわち免疫力を高められるのだと確信することができました。この連載がなければ、そんなふうに考えることはできなかったかもしれません。
今では少しずつ、でも確実に体が回復していると感じることができます。今後は、今の気持ちを忘れずに、気長にがんと付き合っていければと考えています。
最後になりましたが、取材に協力いただいた先生方と、この連載を読んでいただいた読者の皆さんに感謝いたします。

■取材・文:内山 遥(うちやま はるか)
女性誌や医療関係の雑誌に執筆するメディカルライター。2006年2月、入浴中に左胸のしこりを見つける。検査の結果、クラス5、ステージUの乳がんとの診断。4月に乳房温存手術を受け、リンパ節に転移があったため、抗がん剤治療を6クール受け、さらに放射線治療を受ける。ホルモン剤服用を2か月でやめ、現在は、がん再発を防ぐ生活を模索しながら実践中。

提供:株式会社サン・メディカ

<編集部から>

12回シリーズの『がん患者さんのための「免疫とがん」講座』は、連載中、読者の皆さまから、「近年、注目されているマイタケなどのキノコ類について取り上げてほしい」といった問い合わせが寄せられました。そこで編集部では、『抗がんサプリメントの正しい選び方、使い方』(南々社)の著者で、がんの漢方治療や代替療法を行っている銀座東京クリニックの福田一典院長にご登場いただきました。本シリーズは、今回でおしまいです。ご愛読ありがとうございました。



連載

『がん患者さんの口腔ケア〜がん患者さん自身が注意すべき口腔内管理のポイント』

上津江歯科医院院長 渡辺欣哉

化学療法などの原因により重症な口内炎によって、満足に食事が摂取できなくなるために免疫力が下がり、かえって症状が悪化することもありえます。では、一体どうすれば良いでしょうか。今回から、上津江歯科医院院長の渡邊欣哉歯科医師による『がん患者さんの口腔ケア〜がん患者さん自身が注意すべき口腔内管理のポイント』をお届けします。

その1 『がんの疑いがある、がんであると診断された際、がんの治療中の歯科治療、がんの治療後の歯科治療の場合』

<口腔内細菌の複雑性>

口腔内の細菌は、虫歯菌や歯周病菌だけでなく、口内炎を引き起こすウイルスやカビを繁殖させる真菌など種々雑多な細菌・ウイルス・真菌、その他の微生物などが繁殖して、バランスを保ちながら存在しています。
そのなかには、普段は無害ですが、免疫力が低下してくると、急に悪さを引き起こす「日和見感染」と言って、口内炎・肺炎・心内膜炎や、その他の全身症状を引き起こす可能性が出てきます(帯状疱疹が良い例です)。


<口腔内乾燥症(ドライマウス)>

 外科的療法・放射線療法や化学療法で、体力が著しく消耗し栄養状態が悪化したり、がん細胞自身が宿主の臓器で増殖し、栄養障害を引き起こすなどの場合、唾液の分泌が劇的に減少する場合があります。
これらのために口腔内免疫力が低下し、口内炎や嚥下障害・発音障害など種々雑多の症状が引き起こされます。また、患者さんの精神的ストレスによる唾液の分泌量の低下も存在します。


<噛み合わせの変化>

 どうしても、がんという疾患を患いますと、運動不足になりがちで、抗重力筋という身体を支えている筋肉が衰弱し(三大療法の副作用と言う面も考えられます)、頭部(身体のなかで最上部に存在する)の位置がズレます。
従って背中・肩・首の位置が変化し、これが口のなかの「噛み合わせ」のズレを引き起こし、うまく噛み合わせられなくなり、食事が食べられなくなります(入れ歯などの不適合も生じます)。この「噛み合わせのズレ」がストレスとなって、精神的ストレスが蓄積する原因となります。

<口腔内清掃状態の確保困難>

 がんの部位によっても異なりますが,直接,口腔領域に関与しない部位のがんでも、気管挿管(気管支切開を含む)などの処置を施すと、口腔内清掃を十分に行うことが困難になります。このために、細菌類などの繁殖が容易になります。
療法の種類によっては、歯肉をはじめとする口腔内組織からの出血傾向が増加し、口腔内清掃が困難となります。


<口腔内細菌の悪化が腸内細菌・肺内細菌の悪化を促す>

当たり前のことですが、口腔は呼吸器と消化器の入り口ですから、腸内細菌が変化し栄養の合成・吸収阻害を引き起こします。このために、栄養障害や免疫力の低下を引き起こしやすくなります。


<吐き気・口内炎、意識障害による口腔内清掃状態の悪化>

 どうしても、療法の副作用や疾患自体の性格上、吐き気や意識障害が出やすくなるため、患者さんご本人に、口腔内清掃状態の意識がなくなりますので、看護する側が注意を払わなければいけません。しかし多忙なため、患者さんの口腔内症状の急変を認識できない場合が出てきます(とくに睡眠時)。


<使用薬剤の副作用>

血液中のタンパク質量が減少すると、使用薬剤の効果が高くなり副作用も同時に強くなります。このため口腔内に症状が出やすくなり、治癒が困難になります。


【がん患者さんの口腔衛生Q&A】
患者さんからの質問 歯科医師からのアドバイス

口が渇く

化学療法や放射線治療により、唾液腺の組織はかなりのダメージを受けています。そのため『唾液の分泌機能』が低下していますので、できるだけ水分を多めに摂取してください。また、主治医と相談して唾液分泌促進剤や人工唾液剤を処方してもらうことも必要です。市販の保湿ジェルなども利用できますので、それらをうまく使ってみてください。

がんの治療中で
歯科治療が受けにくい

化学療法中や術後は、体力的・精神的に通院が困難になるかと思われますが、虫歯や歯周病は徐々に進行してしまいます。入院中でも、お口のなかの衛生に気をつけ、毎食後と就寝前には歯磨きをきちんと行ってください。最終的な治療は、退院後に受けることにして、たとえ途中までの治療でも、歯科治療を受けておけば歯を失わずに済んだケースも多いと思われます。

がんの治療後に
虫歯が増えた

化学療法を受けると、唾液の分泌量が低下して、唾液による口腔内の自浄作用が弱くなります。そのため、虫歯や歯周病が進行しやすくなりますので、毎食後と就寝前の口腔清掃(歯磨き)を、より一層ていねいに行ってください。

義歯が合わなくなった 手術や抗がん剤の影響で体力が低下し、あごの骨が吸収されてしまい、義歯の適合が悪くなってしまうことがあります。その場合は、かかりつけの歯科医院で、義歯の調整を受けてください。
舌が痛い 術後の食欲不振で食が進まないなど、栄養状態が悪くなったりすることで貧血になることがあります。とくに鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏性貧血の場合には、『舌の前方部が赤くなって痛くなる』ことがあります。その場合には、がんの主治医の先生と相談し、血液検査を受けてください。唾液分泌量が低下している場合には、「舌の表面が白くなる」ことがあります。唾液による自浄作用が低下して、雑菌が舌の上で増えるために痛みとして感じることがあるのです。その場合には、含漱薬の使用をお勧めします。


BOOK紹介
口もとからの美容と健康

 がんに対する、さまざまな治療法が開発されていますが、その一方で、がん治療が原因で、重篤な口内炎などの疾患が口腔内に発症、がん患者さんのQOLを阻害するケースが増えています。では、どのような対策が必要でしょうか。つい最近、がん患者さんの口腔ケアをテーマとしたセミナーが開催され、がん患者さんの治療に伴い、口腔ケア対策が不可欠なことが明らかにされました。
『口もとからの美容と健康〜ごぞんじですか?歯と全身の関係』は、歯科医師として、実際に診療に携わってきたなかで、経験上、患者さんにアドバイスをした内容をまとめた書。
歯科医療は、一般の人たちとの生活の接点が大きい部分です。モノを食べるとき、健康な歯で咀嚼して栄養を摂取しますが、この機能が何らかの原因によって、口腔内に口内炎などの疾患が発生し、食事を十分に摂取することができなくなれば身体の免疫力は、低下します。
 例えば、がん患者さんが、もしこのような事態に遭遇したときには、免疫力の低下で、がん細胞が増殖し、かえって症状が重くなるケースは少なくないそうです。本書は、がん患者さん対象に記されたものではありませんが、歯科医療に対する基礎知識、なぜ歯科医療が重要視されなければならないのか、口内環境の問題点等々、歯科医師の立場から、健康になるための手法を解説。「“病は口から・・・”の意味を知ってほしい」と著者の渡邊欣哉歯科医師は指摘しています。
 もぐら書房刊(096-364-3823)。A4判、本文222ページ、定価998円+税48円


連載

がんになった教師から生徒たちへのメッセージ
がんという病と闘い生きる姿、そして「命の不思議」と「大切さ」

友村忠司(ともむら ただし)

<プロフィール>友村 忠司(ともむら ただし) 
大学卒業後、みなと山口新聞で一年間記者を経て、福岡県の小学校教師となる。以後、福岡県中間市で教職をとる。 福岡県教育委員会の人権読本の執筆委員となり小学生用の副教材の執筆をする。「おばあちゃんの俳句」(識字教室での様子)、よしおのささぶね(地元教材)、絵本チマ・チョゴリの卒業式(制作スタッフ)などを作成。

2回目 『K君が手術の日に渡してくれたお守り』

手術日を翌日に控えて、バッグにしまってあったお守りを取り出して見ました。手渡してくれたK君の、鼻の頭に汗をいっぱいかき緊張していた顔を思い出しました。同時にお守りに記されていたA神社の名前を見て、苦い思いが浮かんできたのです。A神社と私が勤務するM小学校は、少なからぬ因縁があったからです。


「神社を荒らしまわる子ども達がいる・・・」

2月初旬、職員朝会で教頭が立ち上がりました。
「校区内のA神社の神主さんから、学校へ厳重抗議がありました」
職員が、一斉に顔を教頭に向けました。
「M小学校の児童が、神社を荒らしまわっているそうです」
いきりたった教頭が口をとがらせ、さらに続けて言いました。
「児童たちが、神社で長い棒の先にガムを付けて、お賽銭箱に突っ込み、賽銭にいたずらをしているし、しめ縄につかまって、ターザンごっこをしている。お守りを売る縁台で、鬼ごっこをして走り回っているので、注意をすると、うるせー黙れ、と逃げていくそうです」
その日の長い長い職員朝会は、教頭の「担任の先生は、指導をしっかりしてください」と言う言葉で、やっと幕が下りました。


K君にもらったお守りに神社の名前が書いてあった・・・

お守りをじっと見ているうちに、教頭の言葉が一つひとつ思い出されてきました。私がK君にもらったお守りには、教頭が話していたA神社名前が記されていたのです。
「明日の手術は大丈夫なんだろうか」と身体中に汗をかいていたときに、私はK君の汗いっぱいの顔を思い出しました。
「そうだ神社の神さまは、まったく付き合いが無い人に、突然、手術の成功を頼まれるよりも、境内でいたずらを繰り返すK君の願いのほうが、なじみが深く、聞いてくれるはず」と納得しました。
わけあって、私は一人で暮らしてきました。がんの告知も、死の恐怖で眠られぬ夜の孤絶にも、一人で耐えてきました。無宗教の私ですが、K君のお守りに、そっと両手を合わせたのでした。
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