トップページ おすすめホームページ イベント情報 がん関連リンク
がんにかかわる情報の配信ページです
放射線治療施設一覧 ホスピス・緩和ケア病棟施設一覧

月刊がん もっといい日Web版

検診・治療Data File

このホームページに関するご意見・お問い合わせはyamamoto-iihi@gekkan-gan.co.jpまで

〒113-0034
東京都文京区湯島3-36-3
歌川ビル4F

『週刊がん もっといい日』編集部(株式会社日本医療情報出版)
TEL.03-5688-7816
FAX.03-5688-7803





週刊がん もっといい日
2009年Vol.187
12月18日更新


Vol.187号の目次 『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道からのメッセージ

@治療最前線
正式承認された子宮頸がん予防ワクチンの有効活用に向けて
医療、行政、教育、家庭からの複合的な訴求に取り組む
取材協力:自治医科大学(栃木県下野市)産科婦人科学講座教授 鈴木光明医師


Aクローズ・アップ
『混合診療控訴審判決における憲法判断の問題点』その3 
転移がん患者・混合診療裁判原告 清郷 伸人


B「週刊がん もっといい日」編集部お勧めBOOK

Cセミナー・イベントのお知らせ

09年12月11日更新内容 全記事はこちら

医療費の経済的負担アンケート調査へ協力のお願い
                             
 東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携部門の特任研究員、児玉有子さんが、医療費の経済的負担についての調査への協力を呼びかけています。
 児玉さんによれば、同研究グループでは、慢性骨髄性白血病の治療薬『グリベック』を服用している患者さんの経済的負担に関する調査研究を行い、多くの患者が医療費の支払いを負担に感じていることがわかりました(http://medg.jp/mt/2009/10/-vol-311.html)。
 「研究を進めるなかで、「他の疾患でも患者家族の経済負担の問題があるのでは」という反響がありました。この不況下で経済的負担は大きな課題です。医療費負担をどう考えていくか、国民的な議論をしていく必要があります。治療しながら病気とともに生活する、医療費負担やその他の負担について、まず実情を明らかにしなければ、議論を始めることもできません」として、あらゆる疾患を対象に、患者の経済負担についてのアンケート調査を実施することになったものです。
 アンケートの回答は、ホームページ(http://www.pt-spt.umin.jp/sub1.html)で。
締め切りは12月25日まで。
「一人でも多くの方にお答えいただき、今後の国民的議論のたたき台につなげたいと考えております」(児玉さん)
 治療しながら病気とともに生活する患者さんにとって、時として経済的負担が重くのしかかるケースは少なくありません。実際に、関東在住のがん患者さんの場合、治療で会社を休みがちとなり、ついに退社。その後、体調が思わしくないことから働くこともままならない状態で、治療費、生活費等々、経済的な負担で悩みました。
 幸い多くの方々の支援で、闘病生活を続けることが出来るようになりましたが、こうした医療費の経済的負担をどのように解消していくか。課題は多いのです。
 では今週もまた、皆さまにとって「もっといい日」でありますように・・・。

『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道

☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.187☆☆☆


鈴木光明医師

治療最前線

正式承認された子宮頸がん予防ワクチンの
有効活用に向けて医療、行政、教育、
家庭からの複合的な訴求に取り組む


取材協力:自治医科大学(栃木県下野市)
産科婦人科学講座教授 鈴木光明医師



【プロフィール】
すずき・みつあき
1949年埼玉県生まれ。74年慶應義塾大学医学部卒。北里大学産婦人科、東海大学病理学教室を経て81年自治医科大学産科婦人科学教室講師。同助教授、同大附属大宮医療センター婦人科教授を経て、2002年より現職。日本婦人科腫瘍学会理事、日本産婦人科医会常務理事他。医学博士。


 厚生労働省は10月、子宮頸がんの予防ワクチンの製造販売を正式承認した。がんを予防するワクチンとしては唯一の存在といえるこのワクチンには、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐ作用があり、これを摂取することで感染、発がんの危険性を7割程度も低下させることができると見られている。そんな子宮頸がん予防ワクチンの普及拡大に向けた取り組みに力を入れる自治医科大学の鈴木光明教授に話を聞いた。


性交渉により感染するHPVが原因
予防ワクチンによる水際作戦が急務


 まずは子宮頸がんについてのおさらいから。
 女性がんとしては乳がんに次ぐ二番目の患者数をもつ子宮頸がんは、日本国内で年間約15000人が発症、およそ3500人が、これによって命を落としている。早期で発見できれば子宮温存も可能だが、初期における自覚症状がきわめて乏しいことから、積極的な検診の受診がなければ早期発見は困難とされている。
 しかし、他のがん同様、日本の女性の検診受診率は諸外国に比較して極めて低く、アメリカやイギリスが70−80パーセントに達しているのに対して日本では20パーセント台、特に20歳台に至っては5パーセント程度と低調を極めているのが実情だ。
12月6日に都内で開催された子宮頸がん予防を訴える市民フォーラム。鈴木医師ら専門家の話を聴くため、日曜にも関わらず約450人が集まった。市民の関心は高い

「昔は比較的年配に多いがんでしたが、最近では若年化傾向を示しており、若い世代のがん検診受診率の低さは深刻な問題」と鈴木医師は話す。
 子宮頸がん発症の若年化の背景には、このがんの発症メカニズムが大きく関係している。他のがんと異なり、子宮頸がんはHPVという発がん作用を持つウイルスへの感染によって引き起こされる。このHPVは性交渉で感染し、男性の体内では発がんしないが、女性に感染すると子宮頸部でがん化に関与する働きを示すのだ。
「HPVは決して珍しいウイルスではなく、ほとんどの人が一生に一度は感染します。ただ、通常は免疫力で自然に排除されるところを、何らかの事情で長期間の持続感染状態となるとがん化することがある。子宮頸がんの若年化の背景には、日本人の初交年齢の低下が大きく関係していると見ることができ、“若い女性”に対するアプローチの強化が重要になってくるのです」
 今回承認されたワクチンは、この“感染”を水際で防ぐ働きを持っているのだ。


最も効果的な対象年齢は11−14歳
接種率向上には公的補助が不可欠

 “がんを予防する”という視点からのワクチンという意味で、非常に画期的な存在として注目される子宮頸がん予防ワクチン。これまでの臨床試験でも生命に関与するような重篤な副反応は見られておらず、きわめて安全性の高いワクチンといえる。
「HPVへの感染を防ぐためのワクチンなので、すでに持続感染している人のウイルス排除やがんに対する治療効果は望めません。効率的な接種という意味では、初交前の接種が理想的で、11−14歳あたりの女子に接種すれば、子宮頸がんをかなり制圧することが可能といえます」(鈴木医師)。
 ここまでの話を聞く限り、明るい展望が開けてくるが、その前に立ちふさがる問題も多い。最も大きな障壁は“費用”だ。
「子宮頸がん予防ワクチンは、3回の接種で1セット。この1セットの接種に約4万円程度の費用がかかります。現状では健康保険の適用外なので全額が自己負担。現在の検診受診率の低さを考えたとき、これだけの費用を自分で支払ってワクチン接種を受けるかというと、見通しは非常に低いと言わざるを得ない。何らかの公的補助が必要です」
 財政難に苦しむ国がどんな対応を取るかは未知数だが、地方自治体に丸投げするのは得策ではない。将来的にがんになってからの治療費を考えると、予防に重点を置いた予算の枠組みを作るほうが医療経済的に見てもメリットは大きい。
「諸外国を見ても、すでに26カ国で何らかの公的補助を行っており、接種率向上につなげているという実績があります」と、鈴木医師は国の英断に期待を寄せる。


性教育での性感染症への意識を根付かせる
家庭と学校に求められる積極的な姿勢を

 子宮頸がん予防ワクチンの接種率向上を考える上で、公的負担の実現と並行して鈴木医師が重要視するのが“教育の充実”だ。
「小学校高学年から中学校までを主な対象として接種していくことを考えるのであれば、その世代に対するがんの教育を充実していく必要がある。特にこの病気は性交渉で感染するという特性を持っているので、性教育の内容を考え直すべきでしょう。現在の学校での性教育は主として“避妊”に重点を置いていますが、今後は“性感染”、そしてその先にある“がん”の存在について、重点的に教えていく必要がある。これによって彼女たち自身に予防意識を根付かせることで、ワクチン接種への機運を高める取り組みが急務といえます」
 がん予防、性感染症予防、そして自分の体が将来赤ちゃんを産む大切な体であるという意識を持たせるのに、年齢に早い遅いはない。そしてこれは学校教育だけに任せるのではなく、何より家庭での教育、もっと言えば“しつけ”の範囲で積極的に取り組むべき問題でもある。
 医療、行政、教育、家庭が一丸となって、将来起こりうる病気を未然に防いでいくことの重要性――。その“予防策”がワクチンという形で目の前にある以上、取りかからない手はない。
 鈴木医師の挑戦は続いていく。




クローズアップ

『混合診療控訴審判決における憲法判断の問題点』その3 

転移がん患者・混合診療裁判原告 清郷 伸人

(2009年12月7日 MRIC by 医療ガバナンス学会)

5.憲法29条違反について

 二審判決は、健康保険受給権が憲法25条に基づく社会保障の一環として健保法によって付与された権利であり、その内容は法によって定められた範囲内で認められるものとしている。そして、健保法は、被保険者が本来有している保険受給権を奪っているのではなく、法が受給の範囲を定めた結果に過ぎないから被保険者の財産権を侵害したものではないと判示している。

 被保険者の保険受給権は法律に書いてある範囲内のものにすぎず、受給権を奪うものではないから財産権の侵害ではないというこの理屈は、詭弁である。健康保険受給権は、そんなに弱い権利ではない。

 健康保険によく似た社会保障である公的年金は、財産権として非常に強く守られている。どちらも被保険者が保険料を強制徴収され、国によってその対価としての保険を給付されるシステムである。年金受給者の年金をどのような合理的な理由があろうと財政破綻でもない限り、国の事情や都合で後から立法された法律で、大幅に減額したり、消滅することは許されない。
 個人に対しても、高額な個人年金を契約したからといって、公的年金を減額したり、剥奪することはありえない。さらにいえば、個人が犯罪行為を行っても年金受給権は奪われない。これらは、社会保障の一環として立法によって付与された年金受給権が個人の行為や後の法律によって大幅に減額したり、消したりできない財産権であることを示している。

 健康保険受給権もまったく同じ財産権である。健康保険料を正しく支払った被保険者が、犯罪行為でもない保険外診療を一つ受けたからといって、当然受けるべき給付をすべて奪われるのは、財産権の侵害そのものである。しかも後から立法した保険外併用療養費制度の明文規定もない解釈で、財産権を奪われるのである。

「もともと被保険者には、保険診療は保険料の対価として保険でカバーしてもらえる権利がある。保険外併用療養費として定められた場合以外に、保険のきかない治療を受けたのは、自由診療であるから、いちいち規定がなくても医療機関と患者の私法上の契約により医療機関にはその支払い請求権があるはずである。そのような私法上の契約をした瞬間に、被保険者は保険診療を受ける権利を失う(医療機関は保険負担分を健康保険組合に支払ってもらう権利を失う)とするなら、その旨の明文の規定が必要だが、健保法の規定だけではそのような重大なことを規定しているとはいえない。
 法律の根拠なき権利剥奪行政は、侵害留保理論が浸透している今日はほとんど例がないが、これはその稀な例である。…中略… したがって混合診療を禁止するには、その旨の明文の規定を置かなければならない。しかも、保険診療を受ける権利は、社会福祉手当のような立法政策に大幅に依存する権利ではなく、強制徴収された保険料の対価である財産権であるから、憲法29条により保障されている。保険外診療を自費で受けた瞬間に、誰に迷惑をかけるわけでもないのに、保険診療を受ける権利を奪われる合理的な理由は見出せないのである」

 二審判決は、保険受給権は国が創設した制度により政策的に与えられた権利にすぎないというが、被保険者が支払う保険料は、国民皆保険制度により、税金とは別に国に強制徴収されたものである。
 それは、国の設けた制度によって国民が納税者として一方的に受ける政策的サービスというようなものではなく、保険料を払うことによって生ずる、保険診療に対する保険給付という非常に強い対価としての給付契約であって、国家といえども簡単に奪うことのできない財産権というべきものである。

 また混合診療による被保険者の保険受給権剥奪は立法の裁量範囲だと判決はいうが、では国民が義務として支払った年金保険料の対価である年金の受給権を、民間の高額な個人年金を契約したからといって国が奪うことができるのか、たとえば私塾に通う公立中学校の子女の親は、国の負担したその子女の義務教育費を返還しなければならないのか。混合診療で受ける保険外診療は、合法的に存在し、個人が全額自費で受けるものである。個人年金や塾と同質である。

 このように、保険受給権を奪う国の手段は裁量合理性を超えて、憲法に違反している。したがって混合診療禁止とそれを担保するための保険受給権剥奪という国の法解釈が、憲法29条を侵していることは明らかである。

 国が、立法府の裁量を広く認めたという堀木訴訟は障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止に対する違憲訴訟である。最高裁は判決で、立法府の裁量を認め、原告敗訴としたが、年金保険料の対価である障害福祉年金は財産権に属するとしても、児童扶養手当は、被上告人のいう国の政策で与えられた権利にすぎないといえる。
 最高裁の判断の根拠も、そこにあると思われる。しかし、健康保険の受給権はそのようなものではない。強制徴収された保険料の対価としての財産権である。

 最後に、法律学者の意見を付け加える。「国家が「社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進」(憲法25条2項)の目的で運営する社会保険においては,保険者が保険需要の高い(病弱な)加入希望者を排除したり,実際の医療需要の中のごく一部分に対してだけ保険給付を行うといった方法を採用することは,制度に課せられた公共的使命に照らしても許されることではない。
 すなわち,全ての利用者について「制度を悪用する」逆選択を許さないという仕組みを作り上げることによって,民間保険では排除されてしまう(あるいは十分な給付を受けられない)大きな医療需要を抱える者をも支えようとする点に,社会保険の強制加入制度が憲法上是認される根拠を求めることができる。

 しかし,ここで注意しなければならないことは,たとえ健康で病気に罹患する可能性の低いと思われる者であっても,将来実際に病気になった場合には,保険料の強制的徴収の対価としての反対給付を受ける権利を奪われることがないという点である。
 前記昭和33年大法廷判決における「国民の相扶共済の精神」に基づき,「保険事故を生ずべき者の全部」を対象として保険を運営するとのくだりは,この点を当然の前提として含んでいるものと考えられる。

 そうであるとするならば,現行法上何ら明文規定が存在しない中,単なる「反対解釈」というだけのあいまいな根拠で,現実に保険事故が発生している被保険者が、自由診療部分の付加行為(それ自体は保険集団を構成する他のメンバーに対して何らの損害を与えることもない行為である)を行なったことのみをもって,「療養の給付」を拒否するという措置は,強制加入の合憲性を支える基盤であるところの「拠出と給付との間の牽連性」の考え方から大きく逸脱し,極めて違憲の疑いが強いという結論に至るものと考えられる。」

まとめ
 以上述べてきたとおり、私のがんの進行を抑制する治療を奪った混合診療禁止原則が法的根拠を持っていないこと、および持っているとする国や二審判決の法解釈や健保法の法規定が違憲であることを訴えたい。
 私が手術できない部位へのがん転移を告げられたとき、治療方法はインターフェロンとLAKの二つしかなかった。そのLAKを受けただけでインターフェロンまで全額自費となって実質的に奪われるのは、あまりに理不尽である。

 法治国家日本で法的根拠もなく国民の権利が奪われ、民主国家日本で憲法に謳われた基本的人権が踏みにじられることは耐え難い。私の後にもがん患者は延々と続く。希望する必要な治療を行ったために身体的にも経済的にもそして精神的にも立ち上がれないほどの窮地に追い込まれている患者のために、そして公正で民主的な法秩序のために最高裁判所の英断を期待する。





「週刊がん もっといい日」編集部お勧めBOOK

3つのがんと闘い回復を勝ち取った
9年間の壮絶な記録

織伊友作著
『生還へのフォアボール がん患者への応援歌』


「私は、大腸がん、肝臓(転移)がん、胃がんの3がん4バトルを闘ってきたて兵士である。一次バトルの大腸がん切除を経験したのは、2000年・58歳、四次バトルの胃がんは2008年・66歳である。完治という終戦を迎えぬまま67歳になった」
 こんな書き出しで始まるのが、『生還へのフォアボール がん患者への応援歌』。何度も、がんに侵されながらも、不屈の闘志で、がんと闘い続けた著者の織伊友作さんの力作だ。 がん発症までのプロローグから始まり、大切な人たちとの別れと大腸がん、肝臓への転移、胃がん・・・そして「いろいろ想うがんのこと、今の私、これからの覚悟など」を克明に綴る織伊さん。
「おおい! がん如きで死んでちゃ、駄目ですよう! 諦めずに粘っていればきっと医学と新薬の発達が、あなたのがんに追いついてくれますよ!」
 織伊さんは、多くのがん患者さんたちに呼びかけています。まさに、がん患者とその家族、がん予備軍への応援歌である。
「大腸がん、肝臓がん、胃がん・・。次々と死の剛速球を投げてくる閻魔(えんま)の遣い。力強く確かな筆力とユーモアセンスあふれる描写で、すべてのがん患者とそのご家族に勇気、感動そして闘う術を伝えます。見事に生き抜き、今なお酒豪を自負する著者の生き方を、ぜひとも多くの方にお知らせしたい」(出版元の青月社)


本文338ページ、本体価格1500円。
発行所は株式会社青月社(03-5833-8622)。
著者の連絡先は織友出版事務局
(〒462-0013愛知県名古屋市北区東味鋺1-1020
TEL:050―5203―9858)本の内容の詳細はhttp://seigetsusha.com/olii/index.htmlで。


------------------------------------------TOPに戻る


Copyright 2001 Japan Medical Information Publishing, Inc. All Rights reserved.