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『週刊がん もっといい日』編集部(株式会社日本医療情報出版)
TEL.03-5688-7816
FAX.03-5688-7803




週刊がん もっといい日
2011年Vol.238
1月28日更新


Vol.238の目次 『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道からのメッセージ

●もう迷わない!がん治療を補うサプリメントの選び方−
 (3)免疫が無力化する!? がんと免疫の最新研究
取材協力:小林製薬・中央研究所

●クローズ・アップ
肺がん治療薬イレッサ(の訴訟にかかる和解勧告)に対する見解
高久史麿
(2011年1月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp)


●セミナー・イベントのお知らせ

11年1月21日更新内容 全記事はこちら

がん治療の「跡ケア」用品が、がん体験者や患者さんから求められています!
 
 がん患者さんが悩む最大の肌の問題は「乾燥」で、その要因が放射線治療や抗がん剤の副作用によって生じることが、バイオイル/ユニオン−スイス社が首都圏のがん関連診療科に勤務する看護師34名を対象に実施した『女性がん患者の悩みに関するアンケート調査』でわかりました。

 がん患者さんが抱える肌の悩みの三分の一が「乾燥」で、「かゆみ」(19%)「肌荒れ」(13%)ですが、看護師が指摘するケアは、何よりも「保湿」(40%)を重要とし、「肌のトラブル解消は患者さんのQOL向上に貢献する」と答えた看護師は四分の三以上に達しています。がん治療と日常生活の両立には、最大の肌の悩み「乾燥」軽減のための適切な保湿が重要なことが同調査から判明しています。

 回答した看護師のコメントには、「がん治療による皮膚のトラブルも多く、患者の悩みの一つ。苦痛を減らすために皮膚ケアができれば・・・」「治療後の自分の外見で、自己像から大きく離れてしまうことは苦しいことだから・・・」がありました。

 患者さんの肌のトラブル解消活動を、病院、個人・グループで行っていない看護師の6割が「支援活動をしたい」とし、具体的には「悩みを打ち明ける場をまずは設ける」「放射線治療後の皮膚トラブルをケアするためのセルフケア指導をしたい」と回答しています。

 近年、乳がんの手術後の下着や弾力性着衣、抗がん剤の投与による脱毛に対応したウイッグ、肌に関するスキンケアやメイクアップといった、「跡ケア」関連商品が、がん体験者、患者さん、医療従事者から求められています。

 調査に回答した看護師は、「跡ケア」商品について「乳腺手術は乳房というデリケートな部分で、セルフ・イメージの受容にも関係するので勧めたい」「顔や体に残ってしまう手術跡がコンプレックスになってしまうこともあり、改善ケアできるなら・・・」「傷跡の凸凹がなくなれば患者の世界が広がるかもしれない」「日本であまり知られていなくても海外でエビデンスがある製品ならば・・・」等々、肌の悩みを解消するための「跡ケア」用品に対する関心の高いことが浮き彫りになりました。

 看護師が、「勧めたい」と推薦する「跡ケア」用品は、『バイオイル』とネーミングされたスキンオイル。機会を見て、皆様にご紹介します。

 さて今週もまた、皆様にとって「もっといい日」でありますように・・・。

『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道



☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.238☆☆☆

連載

もう迷わない!
がん治療を補うサプリメントの選び方



連載(3)

免疫が無力化する!? がんと免疫の最新研究



取材協力:小林製薬・中央研究所

 ひと言で「サプリメント(食品)」といっても、本当に信頼のおけるサプリメント素材の研究開発には医療分野に匹敵するほどのハイレベルの科学技術と膨大なコスト(時間や費用)がかけられていることはあまり知られていない。今回、大手メーカーに協力してもらい、一般にはふだん目に触れることのできない最先端の研究現場で行われている研究内容、品質管理等についてレポートする。(取材・文/医療ライター・新井貴)

【臨床医を納得させる絶対的な自信】

 小林製薬(本社・大阪市)が大阪府茨木市にもつ中央研究所は、同社の研究・技術開発の部門を担う、いわば"ものづくり"の中枢部だ。そのなかでも研究部は、自前のシーズ(新しい試み・技術)を開発する部署で、「食品成分とがん免疫」の研究を担当する"免疫研究グループ"は、免疫を高めるサプリメントの素材として"シイタケ菌糸体"に着目し、15年ほど前から研究をスタートさせている。

小林製薬中央研究所の外観 安全キャビネット内で細胞を培養

 連載第1回の記事で金沢大学大学院の鈴木信孝教授が指摘しているように、サプリメントは素材の均一した安全性、有用性を保証するメーカー側の品質管理が重要になってくる。では同社の場合は、どのように品質の均一性を保っているのか。
 免疫研究グループの為定誠課長は、「シイタケの菌糸体の場合も当然、菌株が違ってくれば有用成分にも違いが出てきます。ですから、使われる素材は常に選び抜かれた1つの菌株を元に作られています。この菌株選びは約2年かけて数千株の中からスクリーニングをかけ、最終的にもっとも優秀なデータが得られた菌株です。まったく同一の菌株は他には存在しませんから、厳重に保管されているおおもとの菌株は、弊社ブランドのシイタケ菌ということになります」と説明する。


小林製薬研究所・免疫研究グループ
為定 誠課長(学術博士)

 安全性試験に対しても、コスト面などからヒト臨床試験まで実施していないサプリメント素材が存在する現状のなかで、同社のシイタケ菌糸体の素材は、特定保健用食品(トクホ)の申請で標準的な安全性試験をすべて実施しているほどの念の入れようだ。

『特定保健用食品申請に必要な標準的な安全性試験』
免疫細胞の種類や量を測定

 為定課長は、「人が口から摂取する成分なので安全性が一番大事」と強調し、「この品質と安全性に"絶対的な自信がある"という大前提がベースにあるからこそ、有用性に対するヒト臨床試験にも積極的に可能性を追求してこれたのです」と話す。
 研究に終わりはなく、同社のシイタケ菌糸体の素材は、これまで多くの臨床医の協力・指導のもと、コストをかけて次々とがんに対する臨床研究の結果を報告・集積してきた(詳しい内容はhttp://www.ganmen-kobayashi.jp/index.htmlに掲示)。これだけ臨床医の協力を得ることができるのも、長年の研究の実績と揺るぎない臨床医を納得させるだけの品質と安全性のデータを提示することを地道に行ってきた賜物ともいえるわけだ。

【がん患者さんの体内に免疫を無力化させてしまう細胞がある】

 小林製薬の免疫研究グループは、これまでの「食品成分とがん免疫」の研究過程において、がんに対する食品成分の有用性を確認する新しいがん免疫の評価方法を開発した。
 その評価法を用いて(財)大阪癌研究会との共同研究でシイタケ菌糸体のがん再発予防に対する有用性を調べたところ、その有用性が確認でき、その結果は2009年米国癌学会100周年記念大会(コロラド州デンバー)で発表報告されている。

 「これまで、がんの免疫治療分野を中心に、がん患者さんに対して免疫を高めることばかりを考えていたわけです。しかし、実は、がん患者さんの体のなかでは、免疫を無力化させる細胞(制御性T細胞)が、がんにより増殖していることが分かってきました。その状態では、単に免疫を高めるだけでは、免疫が抑制されてしまうため、がん細胞を十分に攻撃できないのです。そのため、この制御性T細胞の働きを抑えて、がん細胞を攻撃できる体の状態にすることが重要だということが分かってきました。この新しい評価方法は"制御性T細胞の減少効果"を測る、優れたがん免疫の評価法なのです」(為定課長)

培養した細胞の繁殖状態を
チェック


 このような近年の研究によって、従来の手術・抗がん剤・放射線療法だけでなく、とくに新たながん治療法として注目を集めている免疫療法では、その効果を高めるために"いかに制御性T細胞を減少させられるか"の方法の開発が医薬・食品メーカーの大きな課題として活発に研究が行われている。

 小林製薬・中央研究所の免疫研究グループでは、これまでの新しい評価法の研究データの集積を活かして、島根大学医学部(免疫学の原田守教授)との共同研究により、いち早く、シイタケ菌糸体が制御性T細胞を減少させることを確認している。(2010年3月に開催された日本薬学会第130年会(岡山市)で発表)。

 さらに、2010年12月には第23回日本バイオセラピィ学会(大阪市)において、同じく島根大学医学部(同教授)との共同研究(マウス実験)によって、シイタケ菌糸体が「がんペプチドワクチン療法」(免疫療法の一種で、2010年から一部、高度先進医療に認定)の効果を増強させることを確認した成果を発表するまでに至っている。

 為定課長は免疫研究グループが果たしている役割について、「我々は食品の成分研究だけでなく、『免疫とは何か』という部分を最大のテーマとして長年研究を続けてきました。だから素材の作用メカニズムを科学的にはっきりと説明することができる。これが弊社の素材の特徴であり、強みだと思っています」とアピールする。

日本バイオセラピィ学会の発表会場


試薬反応を確認
 今回、サプリメントの素材を世に送り出す最先端の研究現場を読者に知ってもらうために、小林製薬・中央研究所を1つのモデルとして取り上げさせてもらったが、実際にはこれほどコストをかけて素材の研究に取り組んでいるメーカーは、一体どのくらい存在するだろうか。
 これから、サプリメントが補完代替医療の中核として1つでも多くの良質の素材が、がん治療の効果を高める方法として科学的にも解明され、広く認知されていくには、各メーカーの地道な研究と臨床医の協力なしでは進展は望めない。
  がん患者さんたちの治療の選択肢を少しでも広げるためにも、国内の補完代替医療の発展を願いながら業界の今後の動向に大いに注目していきたい。(最終回)





クローズアップ

肺がん治療薬イレッサ(の訴訟にかかる和解勧告)に対する見解

高久史麿

(2011年1月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行  http://medg.jp

 肺がん治療薬イレッサの訴訟について東京地裁、大阪地裁が和解勧告を提出したとの報道がなされています。

 亡くなられた患者の皆様に謹んで哀悼の意を申し上げます。と同時に、現在そして未来の患者さんの立場も考えていただきたく、がん患者さんの治療にあたった経験のある医師として一言申し上げたいと思います。

 イレッサは国内外で現在も使用されている評価の高い医薬品です。イレッサの恩恵を受けてきた患者さんが数多くおられます。

 その意味で、販売されるべきものではない医薬品により発生した過去の薬害とは様相が異なると考えています。ただし、犠牲者が出たことも事実であり、何がこれだけの被害を生んだのか、その原因を正しく見極め対策を取る必要があります。そのことに協力を惜しむつもりはありません。

 がんは、日本国民の死因別死亡率のトップを占める疾患であり、現時点において根治可能な治療法が限られています。このため、その治療法の開発は喫緊の課題となっています。特に、肺がんはここ数年、男性における死因別死亡率の1位を占めており、画期的な治療法が期待される分野です。こういった中で、抗がん剤による治療は、手術や放射線による治療と並んでがん治療において重要な地位を占め、がん患者さんや国民からの期待も高まっており、医療界としてもがん患者さんへの治療の選択肢を増やすための取り組みに大きく寄与してきました。

 副作用のない抗がん剤は、患者さんだけでなく医療従事者にとっても夢ですが、実際にはあり得ません。副作用のリスクを冒しても治療の可能性に賭けるのが医療の現場の実情です。特に新薬の場合、効果の期待もある一方、承認直後に稀に起こる重篤な副作用などの未知のリスクは付きものです。

 今回、裁判所は国に過失があって被害が拡大したと判断しているやに聞きます。裁判所がそう判断されるならば、国や医療界も反省すべき点はあるのだと思いますが、添付文書に記載があってなお過失があると言われては、正直、現場は途方にくれてしまいます。

 医師は、患者さんのメリットとデメリットを足してプラスが最大になるよう努力したいと考えています。それは例えば、事前に分かっているリスクを適切に公表することであり、未知の副作用を極力早く検出することであり、ゲノム情報などを用いて副作用の事前予測の精度を高めることであり、それでも防げなかった不幸な事例については社会全体で適切に補償することです。

 メリット・デメリットの判断を医療界に任せられないという方が多いのであれば、それは我々の不徳の致すところであり、裁判所の判断を仰ぐしかないことではありますが、現在そして未来の患者さんに禍根を残しかねない今回の和解勧告について強く懸念をいだいています。





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