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『週刊がん もっといい日』編集部(株式会社日本医療情報出版)
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週刊がん もっといい日
2012年Vol.288
2月16日更新


Vol.288の目次 『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道からのメッセージ
●クローズ・アップ
『多死時代に対応した病院―公立病院こそ その責務を担うべき』
医療法人社団 たかみざわ医院(横浜市) 高見沢 重隆
(2012年2月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp)


●セミナー・イベントのお知らせ

12年2月9日更新内容 全記事はこちら

「がんは怖い病気」から「早期に発見すれば治る病気」へ
中学生対象の「がん教育」の成果、中川恵一医師(東大准教授)が解説

 「がんは怖い病気」から「早期に発見すれば治る病気」へ−東京大学医学部付属病院の放射線科准教授で緩和ケア診療部長の中川恵一医師を特別講師として招き、4か所の中学校で開催された「生きるの教室」の活動結果によれば、受講前後のがんに対するイメージが変わり、「予防できる病気」「早く見つければ治る病気」と理解を示したことが明らかになりました。
 教室は、次世代を担う子供たちに学齢期により、がんに対する適切な知識を伝えてゆくことが必要として、昨年、製薬企業のバイエル薬品が100周年記念企画として、中学2年生を対象にスタートさせたものです。
 がんの自分ごと化の促進へ、受講前、7割強の生徒が、「二人に一人が、がんになる」ことを知りませんでしたが、受講後には、ほぼすべての生徒が、その事実を学んだことで、「がんについて考えていこうと思う」「がん予防に大切な生活や生活習慣を実行したい」と答えました。
 これまで、家族とがんについて話をしたことがなかった理由として「きっかけがなかったから」「話す必要がないと思っていた」生徒たちは、中川医師らの講義を聞き、「家族で話してみたい」と答え、その内容は「がんの予防や予防法」「がんの健康診断(がん検診)や早期発見」に関することでした。保護者も同様に「子供も交えて家族で話そうと思う」と答えています。
 中川医師は、「がんの死亡率が減少している欧米に比べて日本の死亡率は上昇している。これからは、がんとともに生きる社会を作り、がん患者の就労、次世代のがん対策について知識と検診の重要性を広めたい」と話しています。
 この教室に、がん患者の一人として生徒たちに自己の体験を語った桜井なおみさん(NPO法人HOPE★プロジェクト理事長)は、がんになっても安心して暮らせる社会にしたい。生徒たちのがん教育は、これからも継続していただきたい」と関係者に呼びかけています。
 中学生向けの特別授業「生きるの教室」は、今年も全国4校で行われる予定です。

 さて今週もまた、皆様にとって「もっといい日」でありますように・・・。

『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道





☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.288☆☆☆


クローズ・アップ

『多死時代に対応した病院―公立病院こそ その責務を担うべき』

医療法人社団 たかみざわ医院(横浜市) 高見沢 重隆

(2012年2月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp

 神奈川県にある某公立病院が数年後に建て替えられる話が浮上しており、「あり方検討委員会」が昨年末より月一回開催されている。行政寄りの意見からは総合病院を廃院とし周産期に特化したセンター病院化計画の声が聞かれているが、それが本当に地域住民、地元開業医の望む病院の姿なのか、多分に疑問が残る。地元の実地医家としてこの際、今求められる公立病院の“あるべき姿”を提言させていただきたい。

 日経メディカル2011年12月号の特集“死なせる医療”を読まれた方はいらっしゃるだろうか。実地臨床をしていて常日頃、私が感じていた地域における終末期医療の問題点が全国共通の課題であることに共感を覚えた。現在、国内年間死亡者数は約120万人、そのうち8割強が医療機関で看取られている。
 今後入院ベット数が増えるとは考えられず、2030年には死亡者数が165万人に上ると推計され、介護施設の増床や在宅医療の拡充を図ったとしても約47万人の“死に場所”が確保されていないと見積もられている。
 国はこの“死に場所”を在宅医療や介護施設に振り分けようと考えているが、現状の医療制度の中で在宅医療を積極的に推し進めようと考えている実地医家は増えてこないと思われる。

 在宅医療には主に二通りの診療形態がある。数人の医師を集め、癌の末期や神経難病まで、病院に準ずるような積極的な診療を施す在宅専門診療所と、外来診療を中心に据え、自分の余力の及ぶ範囲で在宅医療を行う個人診療所に分けられる。
 在宅専門診療所は今後徐々には増えていくであろうが、絶対数的には個人診療所の比ではない。では何故開業医が在宅医療を渋るのか?問題点を列記する。

 1.勤務医時代、受け持ち患者のために24時間拘束されていた経験から、開業してからも24時間の精神的な拘束を受けたくない。
 2.「ビル診」が増え、時間外の往診時に自宅から距離があるため、行くのが面倒くさい。
 3.外来診療中や外出中、もし急変した時すぐに行くことができず、一人では責任を持って在宅患者を受け持つことができない。
 4.入院を要する状態の時、いつでも快く受け入れてくれる病院が少ない。

 これらの問題がクリアされれば、多くの開業医が在宅診療も行うことになろう。そこで提案したいのが、24時間受け入れ可能な後方支援病院の確立である。確かに今でも在宅支援診療所の届けを出す段階では後方支援病院との契約が必要となる。
 しかし本当にその病院がどんなときでも、どんな状態の患者さんでも必ず受け入れてくれるのかは疑問である。経営を優先する現代の病院では一床でも空きベットを少なくすることに情熱を燃やし、いつでも「満床です」という返事をいただくことが多い。
 また多疾患を併発し、“キュア”より“ケア”の比率が高い高齢者の入院は快く思われない。もし自分が行かれないときに代わって診てくれる、またどのような状態でも主治医が望めば入院させてくれる病院があったなら、在宅医療を行う開業医が増えてくると確信する。

 実際、私が行っている在宅医療の後方支援病院である川崎市立井田病院では、契約を交わした患者さんに限ってはどのような状態でも入院を受け入れてくれるし、私が診られないときには直接患者さんが連絡して病院に受診することもできる。
 通常の総合病院では当直の医師が手いっぱいであったり、自分の科が満床であれば受け入れを拒むところであろうが、井田病院では緩和ケアセンターを併設しているため初期対応をそちらの当直医が担当できる。
 入院も病院中のベットを探せば必ず一床ぐらいは空きがあるものである。このように非癌患者さんも診てくれる緩和ケアセンターを有する総合病院だからこそできる安心システムである。

 ここで本題に戻ろう。多死時代を向かえ、新たな公立病院に望むべき姿として、非癌患者さんにも対応する緩和ケアセンター(終末期センター)を併設した総合病院を提案する。またそこには付設の入所型介護施設と施設も担当する訪問診療所・看護ステーションの存在も必要となる。
 契約している医療機関・介護施設の患者さんは基本的にすべて受け入れる。御自宅で看取りを希望される方なら退院後、元の主治医に戻すか、もし主治医が診きれないときには併設の訪問診療所が在宅医療を担当する。
 御自宅での看取りを希望されない場合は、入院が長引けば併設の介護施設に移っていただきそちらで看取ることもできる。このようなシステムを作れば長期入院も避けられ、常に開業医のための後方支援病院として待機ベットを確保できる。また癌患者さんにおける緩和ケアとは除痛が主であるが、非癌患者さんにおいてはさまざまな疾患に対応できなければ緩和させることができない。
 尿毒症で苦しんでいるのなら透析治療で症状の緩和が図れるし、大腿骨頚部骨折を起こしているならば整形外科の診療が必要となる。各科の先端医療は他の病院に任せるとして、少なくとも大体の科を揃えた総合病院機能を有していなければ満足な終末期医療は行えない。

 また地域のボランティアや宗派を超えた宗教家の参加も積極的に募りたい。現在、医療や行政の機関では垣根が高く、なかなかこれらの方々の参加を認めてくれない。しかし地域や学校を見渡すと、地域福祉のために何か手伝いたいと考えている人々を多く見かける。 
 地域の方々に見守られながらの終末期人生、そんな社会の絆でできあがった病院があってもよいのではないか。また“死亡宣告”までは医師の仕事であるが、死後の世界に関する説明は我々の専門分野ではない。
 終末期を扱う病院であるのなら“死”が終焉となるのではなく、その後のことにも責任を持って相談に乗れるスタッフを揃えておかなければならない。“宗教”というとどうしてもアレルギーを感じてしまう人が多いが、彼らは宗教家であり専門職と捉えて接すれば理解できると思う。
 ひとつの宗教に偏るのではなく、キリスト教の神父さん・牧師さんや仏教の御住職にも参加していただき、患者さんやご家族が望むような形でスタッフの一員として加わっていただけたなら、死を臨むこころの安静にどれほど寄与することであろう。

 行政は今、地域医療の一番の問題は目の前の「産科病院不足」しか考えておらず、これから都市部でも起こってくる終末期医療の大問題にまで考えが及んでいない。新たな病院を作れば医者は来るものと高をくくっているようだが、現場で働く医師の意見を取り入れた病院を作らなければ、箱モノだけを作っても心の入らない病院になってしまうし、第一医者が本当に集まるのか?公立病院こそ5年先10年先の地域医療のグランドデザインを考えながら病院づくりをしていただきたい。
 今後、地域の医療・福祉を拡充させていくためには地元の開業医や介護施設、また地域住民との連携なくしては成り立っていかない。「俺たちが診てやる」病院ではなく、周産期にしろ終末期にしろ自然な生命の営みのなかで主役は患者さんです。病院スタッフは脇役に徹し、「私たちが寄り添う」病院があってもよいのではないか。





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