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『週刊がん もっといい日』編集部(株式会社日本医療情報出版)
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週刊がん もっといい日
2012年Vol.294
4月5日更新


Vol.294の目次 『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道からのメッセージ
●治療最前線
脳腫瘍治療の最新兵器「サイバーナイフ」を
肺や肝臓、口腔領域のがん治療に適用拡大
日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)
サイバーナイフセンター 野村竜太郎医師


●クローズ・アップ
私の書き下ろしエッセー「HIKOBAE(ひこばえ)プロジェクト」
福島県相馬市長 立谷 秀清
(2012年4月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp)


●セミナー・イベントのお知らせ

12年3月29日更新内容 全記事はこちら

NHK総合テレビの「あさイチ」とがんの患者会のこと

 NHK総合テレビが、毎週(月)〜(金)朝8時15分から9時54分まで暮らしに役立つ情報を生放送で提供する番組「あさイチ」では、この2月に患者さん自身の免疫力を高め、がん細胞を攻撃する「がんワクチン治療最前線」を紹介しましたが、4月3日には「が ん患者を救う新サポート」のタイトルで、病院内で体験者が、来院したがん患者さんの相談を受けアドバイスするレポートが放映されました。
 がん患者さんにとって、医療関係者の治療、アドバイス以外に、「同じ立場にある患者同士からの情報、とくに体験がとても役立ちます」との声は少なくありません。同じ悩みを持つ患者さんからの実体験は、とくに初めてがんに罹患した患者さんにとって有意義な情報です。
近年、積極的に公の場に登場なさって、ご自分の体験を披露するがん患者さんが増えてきました。抗がん剤の副作用、家庭のこと、がんとの共生等々・・・体験者の話に多くのがん患者さんが、どれほど勇気付けられたことでしょう。
『週刊がん もっといい日』編集部では、各地に設立されている「がん患者会」を紹介しております。当サイトのトップページの上部にある「患者会リスト」をクリックしてくださると、患者会が掲載されております。(http://www.gekkan-gan.co.jp/ri.htm)
 がんに罹患した患者さんはもとより、ご家族の皆様にとって体験者の会は、長い人生を生き抜く強い味方となってくれるに違いありません。

 さて今週もまた、皆様にとって「もっといい日」でありますように・・・。

『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道




☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.294☆☆☆


治療最前線

脳腫瘍治療の最新兵器「サイバーナイフ」を
肺や肝臓、口腔領域のがん治療に適用拡大

日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)
サイバーナイフセンター 野村竜太郎医師

野村竜太郎医師

■日本赤十字医療センター
東京都渋谷区広尾4-1-22 
電話03-3400-1311(病院代表)
電話03-3400-0406(サイバーナイフセンター直通)
※野村医師は2012年4月より、毎週土曜日のみ下記でサイバーナイフ治療を担当。
■春日居リハビリテーション病院
山梨県笛吹市春日居町国府436
電話0553-26-4126

1997年に日本で初めて導入された定位放射線治療装置「サイバーナイフ」。やはり脳腫瘍を対象として開発された「ガンマナイフ」同様、体表にキズをつけることなく、安全かつ正確に、ピンポイントで腫瘍を攻撃できる治療法として注目されてきた。頭蓋内のみを対象とするガンマナイフと違って、頭頚部、さらには全身の腫瘍の治療にも応用できるサーバーナイフは、アメリカではすでに脳腫瘍よりも「それ以外」の治療での使用頻度が勝るようになってきた。日本におけるサイバーナイフ治療の拠点でもある東京・渋谷区の日本赤十字社医療センター・サイバーナイフセンターでも、「がん治療」へのサイバーナイフ導入を始めたところだ。その有用性と将来性について、同センターの野村竜太郎医師に取材した。

「頭蓋内」から「全身」の腫瘍へ――
適応を広げる定位放射線治療の急先鋒

 まずはサイバーナイフについて、その概略を確認しておく。
 ガンマナイフがその名の通り「ガンマ線」を照射するのに対して、サイバーナイフは「エックス線」を用いる。コンピュータ制御のロボットアームの先に取り付けられた放射線治療装置から、きわめて高い線量のエックス線ビームを照射対象に当てることができ、周辺の正常組織にダメージを及ぼすことなく、病巣のみを確実に攻撃できる最先端のIMRT(強度変調型放射線治療)装置として注目されている。
 ガンマナイフは、頭部に固定したヘルメットに設置された201個の線源からコバルトビームを照射するというシステムを取るため、照射の対象は「頭蓋内」に限定される。この点サイバーナイフは、構造的に全身のどの部分に向けてもエックス線ビームを当てることができる。当初は主として脳腫瘍治療に用いられていたサイバーナイフだが、その汎用性の広さから、近年は徐々にその対象を脳以外の病変に拡大しつつある。
現在日本でも、脳腫瘍以外に頭頚部の腫瘍をはじめ、肺がんと肝がん(共に原発性と転移性)、さらには脊椎病変(脊髄の動脈奇形に限定される)に対しては健康保険が適用されるようになり、広くがん治療への利用拡大に期待が高まっている。

「Ta」「Tb」の早期がんなら
1週間程度の入院で治療可能――

「脳以外の部位に照射ができること以外にも、定位放射線治療におけるサイバーナイフの優位性はいくつもあるが、最大の持ち味は、治療中の照射位置の精度をリアルタイムで合わせられる点。これによって1回の照射時間は長くても、治療期間は短く済ますことができます」(野村医師)。
 仰臥位(仰向け)とはいえ、患者がじっと横になっていられるのは1時間が限度。野村医師は早期の肺がんなどへの照射は長くても45分程度に抑えることにしている(短い時は20分ほどで済むこともある)。それでも4−5回の照射で済むので、大半が1週間以内で退院可能。この点は1回の照射時間が1分ほどと短い半面、照射回数が十回以上で、時に数十回に及ぶこともある粒子線治療とは正反対だ。
 サイバーナイフが得意とする腫瘍は、先にあげた肺や肝臓の他、機能的には膵臓や前立腺なども範疇に入ってくる。逆に胃や大腸など「動く粘膜層」にできる腫瘍が不向きな点は、粒子線治療と同じだ。
 また、サイバーナイフが適しているがんのレベルは、基本的に外科的手術の適応と重なる。すなわち「腫瘍が限局して転移がなく、切除することで完結する段階」ということであり、現状では早期の「Ta」もしくは「Tb」がその対象となる。もちろんその段階を過ぎていても、全身状態が悪かったり、高齢で手術に耐えうる体力が見込めない場合などにも、サイバーナイフによるがん治療の有用性は高まる。
 「がんと診断して治療法を選ぶ際に、その選択肢の中にサイバーナイフを入れて考えることは患者にとって非常に重要であり、すでにそうした時代に来ているということを、がん治療に携わるすべての医師が知っておくべきだと思います」と野村医師。
 「究極の低侵襲がん治療」が、夢ではない時代に入ってきているのは間違いない。

定位放射線治療ニーズの高まり背景に
「専門医」育成の環境整備が急務――

 野村医師は、がん治療認定医であると同時に、脳神経外科専門医だ。医学部を卒業後、救急と麻酔科で研修をした後、母校である日本医科大学の脳神経外科に入局する。大学院では下垂体腫瘍に関する論文で学位を取り、その後も同大の付属病院や関連病院で脳外科手術で実績を重ねてきた。
 「まさか自分がサイバーナイフ一本でやっていくことになるとは、まして脳以外のがん治療に携わることになるなんて、当時は考えもしなかったですね」
 縁あって現在の病院がサイバーナイフを導入した時に誘われた。以前、自身が手術をした脳動脈奇形の患者が、その後ガンマナイフが奏功したことが強く印象に残っていたことも、野村医師の肩を大きく後押しした。2010年1月、日赤医療センターに移籍すると、サイバーナイフセンター専属となり、月平均50−60の症例数の大半を担当してきた。
 すでに触れたとおり、現在は脳腫瘍以外のがんなどの治療にも適応範囲を広げつつあるサイバーナイフ。肩書きは今も脳神経外科医である野村医師が、肺がんや肝がんの照射を受け持つことになる。
 「確かに“切ったり縫ったり”という外科的手術とはアプローチは異なりますが、サイバーナイフによる治療には外科的発想を用いる場面は意外に少なくないんです。狙った組織にピンポイントでビームを当てるには、外科的手術のサイト同様、解剖を熟知している必要がある。その意味では、脳神経外科での経験がいま大いに役立っています」
 それより問題なのは、日本の医療界が抱える「縦割り行政」の弊害だ。日本では、脳神経外科を含む外科系の専門医と放射線治療の専門医の二足のわらじを履くことはご法度――という風潮がある。野村医師も放射線治療専門医の資格を取得すると、場合によっては脳神経外科専門医の資格を返上しなければならない可能性もなくはない。しかし、それでも野村医師は言う。
「それならそれでいいと思っているんです。それほどまでに、サイバーナイフを含む定位放射線治療の重要性は高まってきているわけで、医療側の制度のために有効な治療法の普及が遅れることのほうが馬鹿馬鹿しい話ですよ(笑)」
 サイバーナイフをめぐる技術は日進月歩だが、それを支える医療側の人材育成の環境整備が追い付かない状況だ。野村医師ら現在臨床の最前線に立つ中堅から若手といわれる世代の医師たちの献身的な取り組みが、日本の定位放射線治療の将来を大きく左右すると言っても過言ではない。
 そのためにも、まずは医療消費者である患者の側が、その治療の内容を正しく知る必要がある。がんになってからではなくがんになる前から、手術と化学療法と並び、いずれニーズとしてその上に行く可能性を孕むあらゆる放射線治療について、あらかじめ学習しておくことが重要なのだ。




クローズ・アップ

私の書き下ろしエッセー「HIKOBAE(ひこばえ)プロジェクト」

福島県相馬市長 立谷 秀清

(2012年4月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp

●HIKOBAE(ひこばえ)プロジェクト 被災直後のこと
 ライフラインが途絶え、食料や医薬品が底を尽きそうになるなか、相馬市内の病院では入院患者を守るために必死の医療が続けられた。加えて放射能被ばくの恐怖。責任感と良心だけを頼りに、医療スタッフたちは患者と病院機能を守った。
支援の医師たちが全国から集まってくれたが、どんな名医でも素手では治療が出来ないのだ。薬の供給や、検査体制や、いざという時の入院機能が後ろに控えていないと、せっかくの献身的な医師たちの心意気を活かすことは出来なかった。

 南相馬市の病院が次々と患者避難と撤退を始めるなか、相馬市の公的病院も民間病院も、スタッフたちは能く耐えて地域を守ってくれたと思う。被災した翌日から避難所に詰めかけて自発的に被災者のケアをしてくれた相馬市医師会の医師たち、また原発避難の結果、少ない人数ながら泊まり込みで入所者を守った老人施設のスタッフたち。

 私が、「急な避難には重症患者や災害弱者への大きなリスクが伴う。被害を最小限に止めるためには、国の命令となれば仕方がないが、市長の判断として避難指示を出さない」と決めたことの是非は、後世の検証に委ねたいと思うが、仮にその判断が正しかったとしても、彼らと市民の頑張りが無かったら耐え切ることが出来なかったと思う。まことに、医療はライフラインである。

 映画監督の塩屋俊氏とは、2009年の8月に相馬市民会館で映写会をした「ゼロからの風(#1)」以来のお付き合いである。気が合った私たちは、被災前は相馬野馬追いのご当地映画を作る計画を立てていた。ところが地震、津波、原発と三重苦にまみれたため、相馬市での映画製作など夢のような話になってしまった。
 原発被害がどこまで拡大するか予想もつかない3月下旬のある日、彼は車一杯に積んだ食 料と一緒に、カメラを持って相馬市にやってきた。私や、相馬市民の頑張りを記録したいと言うのだ。私が後世への記録と考えて撮影を許可すると、彼はその活動の拠点を相馬中央病院に置いた。

 当時の相馬中央病院はボイラーが倒れ、暖房が利かず、温水も出ない。4階の人工透析室までは水道の水圧が足りず、自衛隊の皆さんに手伝ってもらって、手作業でやっと水を上げるような状態だった。スタッフの中には原発への恐怖で他県に逃げ出す人もいて、残ったスタッフたちが泊まり込みで患者の面倒を見ていた。医師たちや看護師たちが、「避難しなくて良いのか?」という気持ちになったことは何度もあったが、最後は市の方針に従い、歯を食いしばって入院患者と地域医療を守ってくれた。
その時の様子を舞台劇にしたのが「HIKOBAE」である。

 第一回目の公演を3月11日ニューヨークはブロードウェイの劇場で、翌12日には国連の小劇場で公開された。公演に伴い相馬市長としてのスピーチを求められたので、西田国連大使に引き続き、各国の大使たちを前に心からの思いを演説をさせてもらった。
 相馬市長として、また日本国民として、今日までの世界中からの支援に感謝し、我々は未来を信じながら耐え抜いてきたこと、決して天を恨み人を責めることをしなかったこと、いずれ復興を遂げた相馬市は優しさに溢れた地域になっているだろうこと。

 会場からいただいた大きな拍手は、相馬市の復興に対するエールだった。相馬市は世界から力をもらった。このような機会を作っていただいた塩屋俊氏、および外務省の方々に深謝したい。
#1 http://www.city.soma.fukushima.jp/mayor/essay/essay.asp?offset=60&id=176
【立谷秀清メールマガジン】
発行:福島県相馬市 企画政策部秘書課(TEL 0244-37-2115)
(この記事は相馬市長立谷秀清メールマガジン 2012/03/19号 No.267 より転載)





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