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『週刊がん もっといい日』編集部(株式会社日本医療情報出版)
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週刊がん もっといい日
2012年Vol.298
5月17日更新


Vol.298の目次 『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道からのメッセージ
●クロ−ズ・アップ
『南相馬市の仮設住宅で今も起きている問題』
南相馬市立総合病院 原澤慶太郎
(2012年5月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp)


●セミナー・イベントのお知らせ

12年5月10日更新内容 全記事はこちら

外国を訪れて多くの人々と出会うことの楽しさ

 昨日(5月16日)から上海に来ています。政治都市の北京には年に数回来ていますが、上海は3回目。前回は2年前の上海万博(2010年)でした。わずか数日のことではありましたが、とてつもなく活気のある都市であったことを覚えております。
 あれから2年、相変わらず上海の町中は、経済都市として躍動感があり、道行く人々はとても忙しそうでした。上海訪問の目的は、日本企業で上海に事務所を構え、さまざまなビジネスに取り組む経営者、中国のチェーンドラッグ企業(現地では連鎖葯店)に多くの人脈を持つ中国人の経営者、通信販売企業の経営者等々・・・情報交換と親交を深め、そして提携企業の国際部スタッフとともに昨年(2011年)から企画し進めているレポートづくりのための取材です。
 私自身の通常業務は、がん患者さんと家族、医療関係者、患者会などの取材が中心ですが、時折、企業から中国進出のことを依頼されて中国を訪れることがあります。
 今年(2012年)3月には北京を訪問しました。60歳以上の人口が1億6000万人、65歳以上が1億1000万人を超える中国の高齢者対象ビジネスの現況を調べるものでした。引き続きアメリカ(ロサンゼルスとラスベガス)で在宅医療関連用品の展示会視察、日系人が多く住むリタイアメント・ナーシングホームやシルバーコミュニティ、糖尿病専門ファーマシーを見る機会がありました。
 海外取材は今年だけで3回目。2011年にはハワイとドイツ、中国の長沙と北京、2010年、2009年と、どれほどの人々にお会いしたでしょうか。1969年にスタートした記者生活は43年目。流通記者として、在宅医療・介護分野、縁があって、がん専門記者として月刊誌『月刊がん もっといい日』で、生きるための緩和ケアについて、医師・歯科医師・看護師・薬剤師、介護福祉士、がん患者さんと家族にも取材しました。
 記者とは、「記すヒト」。そのためにも、多くの人々と会い、真実を報道することを心がけてきましたが、がん療法も日々、変化しています。常に最新情報を身につけておかねばなりません。通常の取材活動のほか、研鑽を怠ることは出来ません。ですから当然、研鑽は夜(19時から21時まで)になってしまいますが、製薬企業主催のセミナーは19〜20時ごろまで。とても助かっております。

 さて今週もまた、皆様にとって「もっといい日」でありますように・・・。

『週刊がん もっといい日』編集部 山本武道





☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.298☆☆☆


クロ−ズ・アップ

『南相馬市の仮設住宅で今も起きている問題』

南相馬市立総合病院 原澤慶太郎

(2012年5月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp

 満開だった病院駐車場の桜も、いつしか葉桜となり窓の外は新緑に包まれております。仮設住宅に向かう道中のガレキ置き場も緑が茂り、さながら古墳のようです。
 南相馬市に常勤医として赴任してから6ヶ月になります。私なりに感じている、仮設住宅で今も起きている問題について皆様にご報告させて頂きます。

 年明けに一人の高齢女性に出会いました。彼女は、昨年末に我々が行った全戸訪問のスクリーニングで要再訪問となっていた方でした。ご自宅の内扉をノックしお名前を呼ぶと、中から元気な声でお返事がありました。
ところが、待てど扉が開きません。心配して待っていると、暫くしてゆっくりと扉が開きました。私は自分の目を疑いました。彼女は家の中で這って暮らしていました。

 ことの顛末はこうでした。仮設住宅に引っ越して来てから数日後、夜間に慣れない家の中で転倒したそうです。はじめは右足の付け根が腫れていましたが、それも引いて来たので様子を見ていたと。なんとか坐位はとれるので食事や排泄はできているが、移動はこの通り這っている、とのことでした。我々はすぐに各医療資源につなぎ、現在ではリハビリの成果もあり杖歩行可能なまでになりました。

 震災後の屋内退避を経て、避難所を転々とし、やっと落ち着いた仮設住宅でしたが、彼らの想像以上に骨量、筋力は低下していると推察されます。彼女自身もそうでしたが、これまで農業や漁業に従事し、毎日働いてきた元気な高齢者が、職を失い活動量が低下したことにより、こういった事故のリスクは高まっています。
 彼女自身の「こんなところで転ぶとは、とても思わなかった」という言葉からも分かるように、自分たちができる、あるいはできていたことが、今はできなくなってきているのが現状です。もちろん加齢に伴う変化はあると思われます。しかしながら、この一年の急速な生活様式の変化は無視することができません。男性についても、同じことが起きています。震災前、多くの方は現役の一次産業の担い手でした。
 しかし、原発事故の影響で仕事再開の目処は立たず、車がある方はパチンコに勤しむ日々です。私が赴任してからの半年で、少なくとも2店舗パチンコ屋が新装開店しました。

 この問題に対するアプローチとして、現状評価と介入が必要と考えます。当院のリハビリテーション科のプロジェクトとして仮設住宅居住者の活動量評価を始めました。活動量計という万歩計のような装置を用いて、日々の生活でいかに動いていないか客観的数値を示そうとするものです。また今後、骨量の変化という意味では骨粗鬆症に対するスクリーニングも有効かと思います。

 アセスメント後に介入対象者が明らかになった段階で、いくつかのアプローチが可能かと思います。当院のリハビリテーション科では、すでに動き出しておりますが、高齢者が自分たちでもできる運動指導を行っております。理学療法士による仮設住宅での運動指導を今後も進めて参ります。

 しかし、本当に問題なのはADLが低下し動けなくなりつつある方々です。こういった方々の、積極的な集会所での活動への参加は望めません。我々は現在、訪問リハビリステーションの設立に向けて動き出しております。震災後、南相馬市には訪問リハビリを行っている施設はありません。
 日本理学療法士協会と連携しながら、特区法に基づいて病院とは独立した訪問リハビリステーションを設立すべく、県、復興庁に申請を行っております。協会の半田会長に全面的にご支援を賜りながら、早期実現を目指して参ります。

 また、現状ではADLを維持してはいるものの、活動量が大幅に低下している予備軍の方々が大勢います。これらの方々には、activityの機会の提供が必要と考えます。パークゴルフでも折り紙サークルでも草取りでも除染でも構いません。
 活動に参加してもらうにはincentiveが必要です。まだ企画立案の段階ですが、なにかこういった活動に参加して頂くなかで共通のポイントが貯まるシステムを考えたいと思っております。夏休みの終わりに、スタンプがびっしりと押されたラジオ体操の出席表に感じた満足感が、発想の原点です。NFCや磁気カードを用いて何かできないか模索しております。
 複数の新たなcommunityの創成は、高齢化社会の諸問題に対する一つのsolutionと考えます。より発展させて、このカードにひも付けした各病院共通の診察券の機能を持たせたり、ICチップを乗せ、年齢、氏名、既往歴、内服薬、かかりつけ医、advance directive(Living Will)などの情報も盛り込めるかもしれません。

 「百姓は歩けなくなったら、おしめーだ。」そういった彼女の言葉が心に残っています。寝たきりの高齢者を可能な限り少なくするためには、今一歩踏み出す必要があるかと存じます。今後とも、ご報告致します。





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